会長 川上 幸男

田中豊前会長の後任として,先の学会総会において2026・2027年度の会長を拝命しました.これからの2年間,副会長,理事,監事,そして会員の皆様とともに,本学会のさらなる発展のため,全力を尽くしてまいる所存です.何卒よろしくお願い申し上げます.
一般社団法人日本フルードパワーシステム学会は,前身である日本油空圧協会の1970年設立以来,半世紀以上にわたりわが国のフルードパワー技術を牽引してまいりました.初代会長の丹羽先生が掲げられた「学会は開放された技術と理論の共通の広場である」という精神は,時代や技術が進化しても我々が守り抜くべき普遍的な本質です.
前任の田中会長の任期中には,国際交流の再構築において大きな成果がありました.特に2025年,コロナ禍明けに久しぶりの対面開催となった東京での「第7回日中韓フルードパワージョイントワークショップ(JWS2025)」においては,アジア三カ国の研究者・技術者が一堂に会し,極めて盛況のうちに終えることができました.こうした直接顔を合わせる緊密な交流の再開は,本学会の活力の源泉であることを再認識する,大変意義深い機会となりました.一方で,現在当学会は深刻な構造的課題に直面しております.それは,長年学会を支えてくださった会員の皆様の定年退職にともなう退会が多いのに対し,若い世代の新規入会者が少ないという,世代交代の停滞です.このままでは,先輩諸氏がこれまで築き上げ,蓄積してきたフルードパワーに関する貴重な知見や経験を次世代に引き継ぐための,言うなれば「知のバトン」が,十分に引き継がれないまま途絶えてしまうのではないかという強い危機感を持っています.
この「知のバトン」を次世代へと確実に繋ぎ,学術界と産業界の双方を持続的に発展させていくためには,一般社団法人日本フルードパワー工業会をはじめとする関連団体や企業とのこれまで以上の緊密な連携が不可欠です.それにより,大学・高専の学術界が持つ先進的な知見と,産業界が持つ実践的な技術やフィールドが深く結びつくことで,初めて次世代を担ってくれる人材が育ち,フルードパワーの未来が拓かれます.本学会は,この産学共創を支える強固なプラットフォームとしての役割を,より一層強化していかねばなりません.
このような決意のもと,本学会が2030年の創立60周年,さらにはその先へと持続的に発展していくため,私の任期中には,学会としての基本活動を確実に継続しつつ,以下の重要なミッションに注力してまいります.
第一に,「定期講演会や各種セミナー等の確実な実施」です.学会活動の根幹である春と秋の定期講演会,および各種セミナーなどの通常行事を安定的に,かつ魅力的な内容で実施し続けることで,会員の皆様への確かな価値還元と知見共有の場を維持してまいります.
第二に,「産業界との連携深化による次世代育成」です.従来の共同研究の促進にとどまらず,学生や若手会員がフルードパワー技術の社会的な重要性や魅力に触れ,将来のキャリアビジョンを具体的に描けるような,多様な交流の機会を提供してまいります.これにより,若い世代の知的好奇心を刺激し,学会の活性化と業界全体の基盤強化を同時に目指します.
第三に,今期最大のイベントである「第13回JFPS国際シンポジウム(The 13th JFPS International Symposium on Fluid Power HIMEJI 2027)」の成功です.この国際会議は,2027年11月に姫路で開催を計画していますが,最先端技術を世界に発信する場であると同時に,若い研究者・技術者や学生が国際的な視野を広げ,次世代への「知のバトン」を繋ぐ絶好の舞台であると考えています.実行委員会と緊密に連携し,全力を挙げて準備を進めてまいります.前述しましたが,当学会は,2030年に創立60周年という大きな節目を迎えます.これまでの輝かしい歴史を称えつつ,未来に向けて持続可能な学会の礎を築くことが,私に課された使命であると考えております.
会は会員の皆様お一人おひとりが主役となる「広場」です.直面する課題を乗り越え,産・学・官の垣根を越えて活発に議論し,切磋琢磨できる場であり続けるよう尽力してまいります.会員の皆様におかれましては,引き続きご支援とご協力を賜りますようお願い申し上げます.

